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高額療養費と医療保険 [生命保険]

先ごろ、荻原博子さんの「医療保険なんていりません! 」という本を読みました。本の内容を簡単に言うと、公的な健康保険には高額療養費というとても助かる制度があるのだから、民間の医療保険に入る必要はない、あるいは最低限の加入ですみますよ、というものです。(医療保険だけではなく、他の保険についても書かれていますが。)この本については、思うところがありますので全体の感想を後日に別にブログに書くつもりですが、今日は高額療養費と医療保険についての思うところを書いていきます。

高額療養費があるので医療保険に入る必要はない、という意見は荻原さんに限らず、他にもおおぜいの評論家やファイナンシャルプランナーから発せられています。私も専門化の端くれとして高額療養費の制度は十分に理解をしていますし、公的な制度を考慮した上で民間の保険について考えようという考えはに賛成していますが、「いりません」や「入ってはいけない」なんて断言をするのはどうなのだろうか、と思っているところに、高額療養費の現状の問題点について書いているニュースを読みました。ニュースはこちらです。

限度額以上は還付される「高額療養費」 難解な制度…もっと使いやすく

「お金がないから治療できない」 高額がん医療をどうする

2つの記事ということもあり、長くなりすぎてしまうので今日は引用しませんが、1つ目の記事は制度のいまだに申請主義(こちらから動かないと恩恵を受けることができないということです)である保険者(組合や市町村などの保険運用者のことです)がある事や、先にお金を立て替えた後に還付がある現金給付から保険者が医療機関などに支払った後の自己負担額のみを支払う形の現物給付への動きが不十分であることの運用面での問題点を、2つ目の記事は、一般の所得者と高額所得者、低額所得者で定められている自己負担限度額が利用者の所得によってはきつい(分かりやすく言うと中の下の人にとってきついということです。)という制度上の問題点について書かれています。

この記事を読むと、高額療養費の制度が決してパーフェクトな制度ではないことが分かります。今回の記事では書かれていませんが、医療保険不要論者が決して触れない問題点に自己負担限度額の引き上げがあることも見過ごすことができません。私が社労士になったときの高額療養費の自己負担限度額は63,600円でした。それから7年ほどの間に自己負担限度額は72,300円+α、80,100円+αと引上げられました。少子高齢化の進む今後も、自己負担限度額は引上げられることはあっても、引き下げられることはまずないでしょう。

ある程度の収入と蓄えのあるサラリーマンなどの一部の人にとって、高額療養費などを考えれば民間の保険にわざわざ入る必要はない、というのは現状では正論です。しかし、今は良くても将来がどうなるかは誰にも分かりませんし、その時に「こんなはずではなかった。」と思ったとしても、誰が責任を取ってくれるわけではなく、自己責任の結果です。であるならば、「高額療養費って、なんですか。」という保険屋さんは問題外としても、「高額療養費があるから、医療保険はいりません」と言い切る保険屋さん(そんな人はいないか)も同じくらい信用できないと思うのですが、どうなのでしょうか。

じゃあ、「あんたならどうするの」、となると、私なら全てをオープンに話してお客様に決めてもらうとしか言えないのが、正解のないこの問題の難しいところなんでしょうね。

私の事務所のホームページです。こちらもご覧ください。

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