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当直医に時間外労働手当の支給を命じる地裁判決 [社労士]

「総合周産期母子医療センター」に労働基準監督署の是正勧告が入ったことに関してこのブログで少し前に書来ましたが、今度は産婦人科当直医に時間外労働手当の支給を命じる地裁判決のニュースがありました。

当直医に残業代支払え 「断続的勤務」に該当せず

記事は、

〈 奈良県立奈良病院(奈良市)の男性産婦人科医2人が、夜間宿直や休日などの勤務に対し、正当な労働対価が支払われていないとして、県に平成16~17年の割増賃金未払い分計約9230万円の支払いを求めた訴訟の判決が22日、奈良地裁であり、坂倉充信裁判長は県に計約1500万円の支払いを命じた。 〉

〈 原告側弁護士や県によると、公立病院では、医師の宿直や休日勤務に一定額の手当の支払いで済ませているケースが大半。こうした勤務にも割増賃金を支払うべきと認定した判決は、産婦人科などで目立つ医師不足や偏在の要因となってきた労働環境をめぐる議論に影響を与えそうだ。 〉

〈 弁論では、医師らの宿直や休日(宿日直)勤務が、労働基準法や人事院規則にのっとって県が定めた条例で割増賃金を支払う必要がないと定められた「断続的勤務」かどうかが大きな争点となった。 〉

〈 坂倉裁判長は判決理由で、断続的勤務に該当する宿日直勤務について、「構内巡視や文書・電話の収受など常態としてほとんど労働する必要のない勤務」と判示。同病院の産婦人科医師らの勤務実態は「宿日直の24%の時間、救急患者の措置や緊急手術などの通常業務に従事していた」と認定し、断続的勤務には該当しないと判断した。 〉

〈 その上で、宿日直中は「奈良病院の指揮命令下にあり、割増賃金を支払うべき対象の労働時間にあたる」と指摘。訴えのうち、時効が未成立の平成16年10月末以降の割増賃金の支払いを命じた。 〉

とあります。

労働基準法では、農水産業従事者、管理監督者と機密の事務を取り扱う人と共に監視または断続的労働従事者で労働基準監督所長の許可を受けた人は、労働時間(1日8時間、週40時間まで)休憩(6時間超で45分、8時間超で1時間)休日(1週間に1日か、4週間で4日以上)の適用を除外しています。

先の「総合周産期母子医療センター」のニュースでは、夜間勤務は時間外労働でそれに対して必要な措置をとっていないことに対して労働基準監督署が是正勧告をしたということでしたが、今回のニュースは夜間、休日は宿日直勤務となり上記の断続的労働となるため割増賃金の支給対象外と定めていたことに対し、実態は夜間勤務、休日勤務となるため、宿日直手当ではなく時間外労働、休日労働の割増賃金を支払いなさいとの判決を地裁が出したと言うことです。

そもそも夜勤ではなく宿直であったとしても、断続的労働として労働基準監督所長の許可を受けていたのか?という疑問がわいたりしますが(労働基準監督所長の許可がなければ適用除外が成立しませんし、許可を取っていたとすれば、どこを見て許可を出していたのかということになります。)、先の「総合周産期母子医療センター」のニュースでも思いましたが、現場のお医者さんの善意と犠牲によって成り立っている今の医療体制は、根本的に見直さないといけないでしょうね。

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