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「背信的行為」として退職金請求を棄却 [社労士]

ちょっと前で先月の話になりますが、一斉に退職し同業他社に入社した人たちが、元の会社に退職金の支給を求めた訴訟の判決のニュースがありました。ニュースはこちらです。

<一斉退職>「背信的行為」退職金請求棄却 東京地裁判決

記事は、

〉 有線放送業界2位の「キャンシステム」(東京都新宿区)を一斉退職し、業界最大手の「USEN」(港区)と業務提携を結ぶ会社に移った314人が、キャン社に退職金支給を求めた訴訟の判決で東京地裁は28日、25人を除く原告の請求を棄却した。白石哲裁判長は「一斉退職は著しく信義に反する背信的行為」と述べた。

〉 判決によると、キャン社の役員が03年6月に退職し「日本ネットワークヴィジョン」を設立。USENと販売代理店の業務提携を結んだ後、原告らが翌7月にキャン社を退職して入社した。

〉 判決は原告のうち289人について「キャン社に重大な損害を与えることを意図しながら共謀して一斉退職した。懲戒解雇理由に当たり退職金を受け取る権利はない」と判断。退職時期が遅かった残り25人は「共謀しておらず引き継ぎもしている」と訴えを認めた。 

とあります。

会社にとっては洒落にならない話ですね。もっとも、なにも問題がなければ多数の社員が一斉に退職し、同業他社に移るはずもありませんよね。関係者ではないので、どういう事情があったのかは分かりませんので、ここでは一般論として、書いていきます。

そもそも退職金ってなんだということを考えると、長期勤続の功労に対する報奨としての功労報奨、 定年退職後の所得の補填としての生活保障、 在職中に支給すべき賃金の一部を退職時にまとめて支給するものとしての賃金後払い、 人材募集、定着対策のための労務管理によるものといったところが考えられます。

この中の賃金後払いとして退職金を見ると、社員はもう退職金を受け取る権利を持っている(その分の労働を過去におこなっている)ということになりますので、よっぽどの背信行為がない限りは退職金を不支給にするということはできません。

この記事を読むと「背信的行為」として、共謀して一斉に退職したことと、ライバルとなる他社に移ったことの2点が考えられます。(退職金の支給が認められた人が引継ぎをしていると書いてありますので、認められなかった人が一方的に退職しているということも考えられますので、それを入れると3点かもしれません。)

今回の判決では、共謀して一斉に退職したことは「背信的行為」となりますが(あるいは一方的に退職したことをプラスする)、ライバルとなる他社に移ったことは「背信的行為」とはならないということなんですね。

私の事務所のHPで、社員がライバルとなる同業他社に移ることを禁止できるのかと、一方的な退職に対しての心がけについて書いたページがありますので、よろしければそちらもご覧ください。

競業避止義務

社員の一方的な無断退職に対して

私の事務所のホームページです。こちらもご覧ください。

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