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国民年金法改正法案の国会提出を見送り [社労士]

政府・民主党が、専業主婦の年金切り替え漏れ対策を盛り込んだ国民年金法改正案の国会提出を見送る方針を固めたというニュースがありました。

ニュースはこちらです。

<専業主婦年金>政府、改正法案提出先送り 救済に遅れも (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

記事は、

〉 政府・民主党は31日、専業主婦ら第3号被保険者の年金切り替え漏れ対策を盛り込んだ国民年金法改正案について、今国会への提出を見送る方針を固めた。切り替え漏れ対策では、野党側が長妻昭前厚生労働相、細川律夫厚労相の責任明確化を要求。菅直人首相の退陣条件の一つ、特例公債法案の早期成立を巡る与野党の駆け引きが続く中で、国民年金法改正案を審議すれば与野党の対立が激化し、国会運営に影響を与えると判断した。だが、成立が遅れるほど救済が遅れ、無年金となる人が増える可能性も強まる。

〉 保険料負担のない3号の人は、扶養を外れると保険料を払う必要がある1号被保険者への切り替えを届け出なければならない。過去に切り替え漏れがあるとその期間は保険料未納となり、納付が25年未満だと無年金となる。厚労省の推計では、切り替え漏れのある人は97万4000人おり、記録を修正すると、47万5000人の年金が減額される。

〉 このため、厚労省は(1)過去にさかのぼって保険料を納められる期限(現行2年)を10年まで延長(2)未納期間を年金受給資格期間(25年間)に算入(3)未納のまま年金を受け取っている人の給付カットや過払い分返還--などの方針を決め、国民年金法改正案を3年の時限立法で、今国会に提出する方針を表明した。

〉 しかし、対応策を決める過程で政府方針が変わるなど混乱が生じ、野党側は長妻前厚労相、細川厚労相の責任を厳しく追及した経緯がある。細川厚労相の進退問題も浮上しかねず、国会日程全体への影響を考慮し国民年金法改正案の今国会提出を断念した。【山田夢留、鈴木直】

とあります。

うーん、もうため息さえつけないほどのだめっぷりです。

野党が要求する長妻昭前厚生労働相、細川律夫厚労相の責任明確化の責任とは、この改正法案の前に法改正を踏まえずにおこなおうとした愚かな年金救済策についての責任です。

では、愚かな年金救済策はなにかというと、専業主婦である会社員の奥さんは国民年金の保険料を払わなくてすみますが(記事の中の3号の人です)、例えば旦那さんが脱サラして自営業を始めた場合には奥さんは同じ専業主婦であっても今度は保険料を払う必要があります(記事の中の1号の人になります)。

このようなときには本来届け出て以降は保険料を払わなければならないのですが、記事にあるとおり届出をせずに年金の切替え漏れのある人が多数いて、その人たちの年金記録を修正すると年金が減額されたり、最悪には無年金となってしまうためなんらかの救済策が必要となりました。

どのような理由であれ、払うものを払わないのであれば貰うものがもらえないのが道理ですが、当初の救済策では切り替えを十分に周知しなかった国に責任があるので、直近の2年分の保険料を払えば未納期間の全ての期間の保険料を払ったことにしますよ、という道理の通らないものとなりました。

「悪いのは社保庁」がモットーのミスター年金はこれで国民の支持を得られると思ったのでしょうが、保険料をまじめに払ってきた人から見れば「じゃあ、私が払ってきた保険料はなんだったの」ということになり、正直者(届出をしなかった人が正直ではないということではありませんが)が損をする不公平な救済策はおかしいだろうと新たに国民年金法改正法案を国会に提出する動きになったのです。

新しい救済策は記事にあるとおり、(1)過去にさかのぼって保険料を納められる期限(現行2年)を10年まで延長(2)未納期間を年金受給資格期間(25年間)に算入(3)未納のまま年金を受け取っている人の給付カットや過払い分返還などとなり、不公平が発生しないように配慮した救済策になります。

以前の救済策の罪深いところは、法改正をせずに国会を通さずにすむ厚生労働省内の通知でおこなわれたため、ゆくゆくぬか喜びとなる救済をすでに実行してしまったことにもあります。

今は支給が止まっているのでしょうが、改正法案が国会をとおり施行されれば以前の救済で支給された年金は、(3)の通り間違って支払った年金だから返還しなさいとなるわけです。

散々喜ばしておいて後に突き落とすのですから、全くひどい話です。

とここまで以前の救済策がいかに愚かであったかを書きましたが、こんなに馬鹿なことをしでかしたんですから責任を追及されて当然でしょうし、その責任も「間違えちゃいました、ごめんなさい テヘッ」ぐらいで済ますわけにはいかんでしょうね。

国会運営に影響を与えるって、見送ったところで首相が本当に辞めるものか分かったものではありませんし、震災の復興も遅々として進んでいませんし、原発事故も収束していませんし、もうまったくなにも信じられませんよ。

いずれにせよ、今回は見送りとなる改正法案が、いつになるのか分かったものではありませんが国会に提出されるときには、きっちりと責任を問われるべきでしょうね。

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