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社会保険の適用規準引き下げのシミュレーション [社労士]

9月2日のブログで、厚生労働省がパートなどの短時間労働者の厚生年金と健康保険への加入基準の引き下げを検討しているというニュースを紹介しましたが、実際に適用を広げた場合の負担と給付額の変化に関する試算を公表するニュースがありました。

ニュースはこちらです。

<社会保険>適用拡大の試算公表 負担と年金給付額 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

記事は、

〉 厚生労働省は21日、パートら非正規雇用労働者に、事業主も保険料を負担する厚生年金や健康保険の適用を広げた場合の負担と給付額の変化に関する試算を公表した。月収10万円の1965年生まれの女性(46)が厚生年金に1年加入すれば、月の給付が約500円アップし、64歳から平均余命の27年間、90歳まで受給すれば約17万3000円増える。5年加入なら約86万5000円増だ。保険料負担は、自営業者の妻ら第1号被保険者の場合、年に約8万4000円軽減されるが、夫の扶養を受ける第3号被保険者は約9万7000円の負担増となる。

〉 1、3号とも40年間加入した場合の基礎(国民)年金月額は6万5741円(11年度)。厚生年金に入ると、基礎年金に報酬比例年金が上乗せされる。

〉 一方、厚生年金の保険料は、月収10万円なら月8042円(本人負担分)。1号の人は現在の月額保険料(1万5020円)が約7000円下がる。全額自己負担の国民年金と違い、厚生年金の保険料は労使折半だからだ。これに対し、3号の人は今は保険料を払っていないので、新たに8042円がそっくり負担増となる。

〉 健康保険料は、3号の人で年約6万5000円(月約5400円)、国民健康保険(国保)の自営業者の妻は年約1万1000円(月約900円)それぞれ増える。ただ、病気やけがで休んだ場合の傷病手当金や、産前産後の休暇時の出産手当金(いずれも日給の3分の2相当額)が受けられる。

〉 適用拡大は政府の税と社会保障の一体改革案に盛り込まれた。【山田夢留】

とあります。

これはあくまでも月収10万円の46歳の女性の場合の試算ですから、月収や年齢が変わればまた違う試算が出るということに注意をしてください。

厚生年金に1年加入すれば、月の給付が約500円アップだとか、5年加入すれば平均余命までの27年で86万5000円増だなんてよくなることを書いていますが、サラリーマンなどの奥さんである第3号被保険者の方はこれまで保険料を払う必要がなかったのが保険料を払うわけですから、ゼロとの比較であれば保険料がいくらであっても負担が大きく感じるでしょうし、一方で自営業者などの奥さんである第1号被保険者の方にとってはどの道保険料を払う必要があるのですから、労使折半で保険料の半分を会社が払ってくれるのであれば負担が軽減されると感じるだけでしょう。

健康保険に関しても、加入すれば傷病手当金や出産手当金の受給ができるとよいことが書いてありますが、健康保険の被扶養者であるサラリーマンなどの奥さんはやはり保険料負担ゼロからの比較ですから、保険料がいくらであっても負担が大きく感じるでしょうし、自営業者などの奥さんは国民健康保険の均等割で保険料をすでに支払っているわけですから(支払うのは世帯主の方ですが)保険料負担が増えても受けられる保険給付が増えるのであれば納得できるのではないでしょうか。

社会保険の適用拡大はすべきだと思いますが、それだけでは経済的に余裕があるのでパートで働く必要のない第3号被保険者の優遇が解消されるわけではないので(むしろ、より優遇されるようになります)、これだけで第3号被保険者対策とするのはイカンと思いますよ。

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