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有期雇用契約、通算5年超で期間の定めのない契約へ [社労士]

厚生労働省の労働政策審議会が、有期雇用労働者の通算の契約期間が5年を超え希望した場合は、期間の定めのない雇用契約に転換させる新制度を導入する報告書をまとめたというニュースがありました。

ニュースはこちらです。

有期雇用の労働者、5年超で無期雇用に…労政審 (読売新聞) - Yahoo!ニュース

記事は、

〉 厚生労働相の諮問機関・労働政策審議会は26日、契約社員など期間を定めて働く有期雇用労働者について、通算の契約期間が5年を超え、労働者が希望した場合は、期間の定めのない無期雇用に転換させる新制度を導入することが適当とする報告書をまとめた。

〉 厚労省はこの報告を踏まえ、来年の通常国会に労働契約法改正案を提出する。

〉 「有期」は長期間、同じ職場で正社員同様に働いても賃金が抑制され、貧困層を生み出す要因となるなどの問題が指摘されていた。厚労省では、「新制度の導入で、正社員ではないが、安定した雇用への転換が促される」としており、一定の改善を見込んでいる。

〉 一方で報告書には企業側の意向を重視したとみられる内容も盛り込まれ、いったん離職して一定期間が経過すれば、新制度の5年に対する契約期間の算入がゼロに戻る規定を設けることが適当とした。同一の企業で1年超5年以下勤務した場合では、離職後6か月以上経過すればゼロに戻るとされ、無期を希望する労働者としては転換へのチャンスが遠ざかることになる。

とあります。

この記事を読んだ方の多くが、通算の契約期間が5年を超えたら期間の定めのない契約に変えなければならないのなら、5年を越える前に雇い止めをして、場合によっては退職6ヵ月後のリセット状態になってから再雇用になるだけなんじゃないのと思われるかもしれませんが、私もまさしくそう思います。

レイオフのできない日本では有期雇用契約によって雇用の調整が図られているのが現実で、そこを変えない上に逃げ道まで作る法改正があったところで、現実は変わらないでしょうね。

それよりも気になるのは、5年を超えても正社員になれないという点です。

私はてっきり、5年を超えたら正社員として雇いなさいということだと思っていたのですが、記事にはしっかりと正社員ではないと書かれていますねえ。

じゃあ、なにになるのというとなにになるのでしょう、「期間の定めのない有期雇用契約者」になるということでしょうか、矛盾していてさっぱり意味が分かりませんよ(閉店セールと言いながら、いつまでも売り出しを続けている店がイメージされました)。

正社員ではないとなると、正社員ほどには保護されないということで、例えば会社の業績が不振になったときには正社員よりも先に整理解雇の対象になるなどの不利な点があるということでしょうか。

雇用期間が通算5年になる前に雇い止めにあう可能性はあるし、5年を超えて期間の定めのない雇用契約を結ぶといっても正社員になれるわけでもないし、はたしてどうなんでしょうかねえ。

この法改正が無駄だとは思いませんが、記事に書かれている 「有期」は長期間、同じ職場で正社員同様に働いても賃金が抑制され、貧困層を生み出す要因となる~ という問題の解消に繋がるかというと、それは疑問ですね。

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