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労働契約法改正案の概要 [社労士]

去年の12月28日のブログで、厚生労働省の労働政策審議会が、有期雇用労働者の通算の契約期間が5年を超え希望した場合は、期間の定めのない雇用契約に転換させるという新制度を導入する報告書をまとめたというニュースを紹介しましたが、その報告を踏まえた労働契約法改正案の概要についてのニュースがありました。

ニュースはこちらです。

派遣・パート 5年で無期雇用 最大1年、企業に猶予 労働契約法改正案概要 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

記事は、

〉 同じ職場で5年を超えて働く有期契約のパートや派遣社員を契約期間を限定しない「無期雇用」に転換するよう義務づける政府の労働契約法改正案の概要が7日、分かった。改正内容の一部について施行を公布から1年以内とし、猶予期間を置く方向を示したのが柱。雇用の固定化により負担増となる企業側に配慮した。

〉 非正規労働者の増加に歯止めをかけ、雇用を安定化させるのが狙い。労働基準法は有期雇用について、1回の契約で働ける年数を原則3年以内と定めているが、契約更新を重ねた場合の上限規定はない。

〉 このため、実際には契約更新を繰り返し、正社員と同様の仕事をさせる例も多く、有期契約労働者側から処遇に対する不満や雇い止めの懸念を指摘する声が上がっていた。

〉 改正案は、有期雇用の通算期間の上限を「5年」に設定。通算期間がこれを超えれば、労働者の申し出により、企業は同じ労働条件で無期雇用への転換を認めなければならない規定を盛り込んだ。

〉 連続する有期契約の間に6カ月(直前の契約期間が1年未満ならその2分の1の期間)以上の空白(クーリング)期間があった場合は、通算期間がそこで一度リセットされ、クーリング期間後から積み上げをやり直さなければならない。

〉 有期雇用の更新についても、勤務実態が無期雇用者と同じだったり、雇用が続くと労働者に期待させていたりした場合は、合理的な理由がなければ会社側は拒否できない規定を設ける。

〉 平成22年の統計によると、役員を除く全産業の雇用者約5111万人のうち、非正規労働者は3割の約1756万人。さらに非正規労働者の7割近い約1200万人が雇用契約に期限がある有期契約労働者となっており、処遇改善が課題となっている。

〉 ただ、経済情勢に応じて有期雇用を調整する企業にとって雇用の固定化は負担増につながる。法改正により、契約満了前に雇用を打ち切る「雇い止め」がかえって増えるとの指摘も出ている。

とあります。

前回の報告のニュースには書かれていない、今日のニュースで分かった労働契約法の改正点は、
● 勤務実態が無期雇用者と同じだったり、雇用が続くと労働者に期待させていたりした場合の有期雇用の更新は、合理的な理由がなければ会社側は拒否できないという規定
● 直前の契約期間が1年未満の場合の空白(クーリング)期間は、6ヶ月の2分の1の3ヶ月
● 改正内容の一部については、施行を公布から1年以内の猶予期間がある
の3点です。

この3点を知った上で思うことはといえば、通算の契約期間が5年(1年)を超えたら期間の定めのない契約に変えなければならないのなら、5年(1年)を越える前に雇い止めをして、場合によっては退職6ヵ月(3ヶ月)後のリセット状態になってから再雇用になるだけなんじゃないのと、12月に思ったことと同じなんですけどね。

と、またまた思ったんですが同時に、労働者の申し出により無期雇用にというのをうまく使えば、空白(クーリング)期間を入れなくても済むのでは、とも思ったりします。

みんながみんな、期間の定めのない雇用契約を望むというわけでもないので、労働者の申し出により(12月のニュースでは労働者が希望した場合と書かれていました)という条件を入れたのでしょうが、これを利用(一般的には悪用ですかねえ)して余計なことを言わずに黙って、あるいはうまく言いくるめて契約更新を続けるというのもあるかもしれませんよ。

あっ、これは私が自分のお客の社長さんに入れ知恵をしてやろうというわけでなくて、あくまでも思っただけなんですけどね、念のためです。

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