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厚生年金・健康保険の適用拡大を縮小に [社労士]

パートなどの短時間労働者への厚生年金・健康保険の適用拡大案ですが、当面の対象者を大幅に縮小した45万人にとどめる案で決着したというニュースがありました。

ニュースはこちらです。

<厚生年金>政府目標にほど遠く 「非正規」適用拡大で決着 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

記事は、

〉 パートら非正規雇用労働者への厚生年金・健康保険の適用拡大案は、当面の対象者を「従業員501人以上の企業に勤める年収94万円以上」の約45万人にとどめる案で決着した。政府がゴールに想定する「370万人」にはほど遠い。負担増を懸念する企業に配慮した民主党経済産業部門会議の議員らが抵抗したためだが、民主党政権は来年の通常国会に全国民が同一制度に加入する新年金制度の法案を提出する方針で、整合性を問われそうだ。【鈴木直】

〉 現在、週の労働時間が約30時間に満たない人は事業主も保険料を払う厚生年金や健康保険に入れない。全額自己負担で給付も見劣りする国民年金、国民健康保険に加入している人が多いため、政府は要件を「週20時間以上」に広げ、正社員と非正規の格差是正を図る方針を打ち出した。

〉 「20時間以上」の全員を対象にすると、新たな加入者は約370万人となる。だが、企業の負担増が年間5400億円に上るとして、パートを多く雇う流通、外食産業などが反発し、呼応した経済産業系議員らは先送りを主張した。

〉 ただ、適用拡大は「全世代型」をうたう一体改革の中の数少ない現役支援策でもある。推進派は先送りを強く批判し、厚生労働省は中間をとって当面100万人を対象とする案を示し、次に50万人に絞った案を提示した。

〉 しかし、経済界側は07年に自公政権が提出した、適用対象を約20万人にとどめる案の採用を求め、50万人案にも反対した。その結果、対象者が自公政権案をどうにか上回る45万人案で落ち着いた。

〉 「全年金制度の一元化」を掲げる民主党は野党時代、自公政権の20万人案を批判し、廃案に追い込んだだけに、かろうじてメンツは保った。それでも年金の完全一元化には、事業主負担がなく保険料が跳ね上がる自営業者や、負担の難しい失業者にも加入を義務づける必要がある。

〉 同党は新年金制度法案を13年の国会に出した後、早期にスタートさせる考えなのに、今回の適用拡大案は16年度からだ。3年後にさらに適用を広げるというがそれでは一体いつ新年金に移行するのか。同党内からでさえ「パートの加入だけでこれだけ混乱しておいて、どう全国民を対象にするのか」との冷ややかな声が漏れる。

とあります。

去年の9月のブログで厚生労働省が適用拡大を検討をしているというニュースを紹介しましたが、そのときのニュースソースでは「週20時間以上」にした場合の加入者は400万人を越えると推計していましたが、今日の記事では約370万人となっていて、数字が異なります。

まあ、400万人超であっても約370万人であっても、実際は45万人に絞り込んでいるのですからどちらでもいいですか。

記事に書かれている「週の労働時間が約30時間に満たない人は事業主も保険料を払う厚生年金や健康保険に入れない。全額自己負担で給付も見劣りする国民年金、国民健康保険に加入している人が多いため~」ですが、単身者はともかくパートの主婦であればだんなさんの扶養に入ることがありますから(年収130万円未満であれば被扶養者になることができます)、国民年金、国民健康保険に加入している人が多いということはないと思うのですが、どうなのでしょうか。

07年の民主党が廃案に追い込んだ自公政権の適用拡大案ですが、当時私が書いた事務所だよりを読むと(私の事務所では、毎月法改正などのお役立ち情報を発信する事務所だよりを出しています)、適用条件は1年以上の勤務期間、賃金が月に98,000円以上、週の労働時間が20時間以上で、従業員300人以下の中小企業は当面の間は適用を猶予するものでした。

どうでもいいですが、5年前に結果としてうその情報を発信してしまったと思うと、今更ながら腹が立ってきました。

今回の適用拡大案は、従業員501人以上の企業で年収94万円以上ですから(記事には書かれていませんが1年以上の勤務期間はいっしょです)、企業規模は大きくなっていますが年収基準は低くなっています。

先ほどは厚生年金・健康保険の扶養基準130万円なんて書きましたが、実際には所得税、住民税の扶養の枠内である103万円、100万円を越えないように働くケースが多いでしょうから、今回の適用拡大案の方が現実的なのかもしれませんね。

だからと言って、本来の趣旨から大きく外れた妥協の適用拡大案なんですから、全然褒められないでしょうね。

私の事務所のホームページです。こちらもご覧ください。

社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー・DCプランナー 安部事務所(クリックしてください)

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