SSブログ

障害基礎年金の不支給割合に地域差があります [社労士]

日本年金機構が、障害基礎年金の新規に申請を受けて決定を行った事例の中で都道府県の事務センターが不支給と決定した件数の割合(不支給割合)が都道府県間で異なることから、各都道府県における障害基礎年金の認定事務の実態を調査し結果を公表しました。

報道発表資料の調査結果のポイントは以下のとおりですが、専門用語が多く、またいわゆるお役所言葉?で書かれていますのでもし読みづらいという方はポイントを飛ばして、その後の私がまとめるポイントのポイントをお読みください。

<調査結果のポイント>

1.障害基礎年金について新規に申請を受けて決定を行った事例のうち、精神障害・知的障害にかかる事例の割合が全体の66.9%を占めていた。また、不支給割合が高い県は、精神障害・知的障害の等級非該当割合(決定を行った事例のうち、障害の程度が2級に達せず、都道府県の事務センターで不支 給となる件数の割合)が高く、不支給割合が低い県は、精神障害・知的障害の等級非該当割合は低かった。

2. 肢体の障害の等級非該当割合は、不支給割合が低い県でも低くない場合があるなど、不支給割合の地域差と必ずしも同じ傾向となっていなかった。

3.内部障害や外部障害(肢体の障害を除く)の等級非該当割合は、ある程度の地域差がうかがえるが、抽出した事例数が少ないことから、地域差の傾向を確認することは困難であった。

4.精神障害・知的障害の年金支給状況を、診断書の記載項目の一つである「日常生活能力の程度」で見ると、不支給割合が低い10県においては、「日常生活能力の程度」が(2)相当であることが障害基礎年金を支給する目安(障害等級2級相当)となっている一方、不支給割合が高い10県においては、「日常生活能力の程度」が概ね(3)相当であることが、障害基礎年金を支給する目安となっていた。

※ 精神障害・知的障害については、診断書に記載された「日常生活能力の程度」のみではなく、具体的な症状や治療の経過、日常生活状況等を総合的に評価し、認定しているため、診断書に記載された「日常生活能力の程度」が同じであっても、認定結果に差異が生じることはあり得る。

「日常生活能力の程度」が(2)の場合 不支給割合が低い10県→ 5.3%が等級非該当  不支給割合が高い10県→70.8%が等級非該当

(参考)「日常生活能力の程度」・・・請求者が日常生活においてどの程度援助を要するかを、 (1)~(5)の5段階で評価するもの。「 (2)精神障害(知的障害)を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には、援助が必要である。(3)精神障害(知的障害)を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応 じて援助が必要である。」(精神障害・知的障害の診断書より抜粋)

なお、国民年金・厚生年金保険障害認定基準では、2級は、「残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの」(統合失調症の例)などと規定されている。

5. 精神障害・知的障害の診断書に就労状況についての記載がある場合の等級非該当割合(12.5%)と、記載がない場合の等級非該当割合(11.9%)に、大きな差異はなかった。

6.初診日不明による却下処分となった割合は、全体で0.7%であった。また、初診日の判定にかかる地域差の傾向を確認することは困難であった。

ポイントをまとめると、不支給割合の都道府県の地域差は新規申請の中で67%を占める精神障害・知的障害についての申請で発生し、不支給割合が低い県は「日常生活能力の程度」が5段階の軽い方から2番目の「家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には援助が必要」であれば支給するけれども、不支給割合の高い県は「日常生活能力の程度」が5段階の軽い方から3番目の「家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応 じて援助が必要」でなければ支給をしないからということになります(ざっくりまとめすぎかも)。

同じ症状なのに住んでいる地域によって障害年金が支給される、されないという差があっては不公平でまずいでしょうね。

厚生労働省と日本年金機構は障害年金の認定事務における地域差の課題に対応するために、調査結果について日本年金機構の全国の障害認定医や事務担当者に周知し、不公平が生じないように精神障害・知的障害における等級判定のガイドラインとなる客観的な指標や就労状況の評価のあり方について、専門家による会合を開催して検討するそうです。

2日続けてカタイ社労士ブログになってしまいました、次回のブログは気楽に読めるどうでもいいことについて書きたいものです。

私の事務所のホームページです。こちらもご覧ください。

社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー・DCプランナー 安部事務所(クリックしてください)

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。