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成年後見 [社労士]

前回のブログの最後にも書きましたが、12月、1月の土曜日に受講していた33時間の社労士の成年後見人養成研修が終わりましたので、今日はその感想などについてです。

感想の前に、成年後見制度についての簡単な説明を書きます。

成年後見制度は、判断能力が低下した人に、後見人などを付けて本人の生活を支援する制度で、平成12年に始まりました。

成年後見制度には、判断能力が不十分になる前にあらかじめ本人が後見人予定者を決めておき公正証書で契約をする「任意後見」と、概に判断能力が不十分の場合に後見人などの選任者を家庭裁判所が決定する「法定後見」の2種類に分かれ、法定後見は本人の判断能力の程度により「補助」、「補佐」、「後見」の3種類があります(程度の軽い順です)。

後見人などは与えられた同意権、取消権、代理権(制度の種類により付与される権限は異なります)により、本人の生活、療養上の看護(身上監護、後見人などが直接看護、介護をするわけではありません)、財産管理をします。

制度が始まった当初は、本人の配偶者、子などの親族が後見人となることが多かったのですが、現在では親族以外の第三者が後見人となる割合が6割弱となり今後ますます第三者後見人の必要性は高くなりそうで、また申立てをする申立人も本人の親族でない市区町村長の割合が高くなってきています。

この増え続けている第三者後見人の中で、職業後見人として社会保険労務士も成年後見人をやりましょうという研修を受けてきたわけで、社労士だけではなく行政書士さん、税理士さんなどの各士業も同様に取り組んでいるのですが、社労士の取り組みは一番後発なのです。

研修を修了し、あとは別組織である社労士後見センター東京に入会し、家庭裁判所に提出する候補者名簿に名前を載せてもらうという流れになるのですが、入会するかしないか悩んでいます。

だいたい、東京では後見人などを選任する家庭裁判所は、職業後見人として弁護士、司法書士、社会福祉士の3士業しか認めていませんので、名簿を提出したところで選任されることはありませんからね。

とはいえ、選任されないから入会しないというわけではなく、私のような人間が生半可な気持ちで後見人になっていいんだろうかという気持ちで悩んでいます。

研修を受ける前は、後見人ってお年寄りのお財布の管理をする人ぐらいにしか思っていませんでしたが、判断能力の低下した人ってお年寄りだけでなく知的障害のある若い人もいますし、後見人の仕事は財産管理だけでなく身上監護もあるんですよね、この身上監護がとても大変そうなのです。

研修の実例研究にあった、徘徊癖のある認知症の老人が行方不明になったとか、知的障害のある人が無銭飲食をして逮捕されたなどのケース(まだいっぱいあるけど書けません)なんて絶対経験したくありませんし、相手が孤独なお年寄りの場合最後まで見守って、そして看取ることにもなるわけで想像しただけで正直きついです。

その上、研修を受ける前から決して儲からない仕事だと思っていましたが、実際にはその思っていた以上に儲からない報酬設定のようですし、さらにその上受任した場合に利益相反となりかねないので倫理上できないなんて制約(老人ホームに入所している人の後見人になった場合に、老人ホームを運営する会社に社労士として顧問契約を結ぶと本人、会社両方の利益を最大限発揮できなくなる可能性があるので顧問契約を結んではならないということなどのことです)もありますからね、まあ、世の中広いからそんなことはないだろうとは思いますが絶対ないとも言い切れません。

別にこれで一儲けしようなんて最初から思っていませんが、かといってこちらの生活もありますから、やるとしても知り合い関係の任意後見ぐらいからかなと思います。

社会貢献は貴いですが、別に後見人だけが社会貢献ではありませんからね。

となると、別にセンターに入会しなくてもいいじゃないとなりますが、この研修まだ3回目で修了した人も少ないのに、なぜお前は入らないのかとプレッシャーがきつくなりそうです。

ならば、どうせ名簿に名前があっても、さっき書いたとおり選任されることはないから入会だけしてそのまま何もしなければいいじゃんとなりそうですが、こちらもそうはいきませんよとなりそうです。

東京の家庭裁判所が社労士を職業成年後見人として認めてくれないのは、他にも理由はあるのでしょうが実績がないからで、じゃあ実績を作りましょうとこちらも先ほど書きましたが後見などの申立てをする市区町村長に、社労士を市民後見人ではなく社労士だからの職業後見人として申立てをしてもらおうという働きかけを様々な方面からしていますので、入会して名簿に名前を載せてあとは知らんぷりとはいかないでしょう、パイオニアは大変なのです。

社労士としての成年後見人養成研修でしたが、もともと研修を受講したのは社労士の他に1級ファイナンシャルプランニング技能士でもある私ならばきっとお役に立つこともあるだろうという気持ちからでしたしからね、となると決して後見人をメインの業務にすることはないでしょうが、ことここまできたら覚悟を決めてできることはやっていくべきではとないかと、あれっ、ブログを書いている中で気持ちが前向きな方向に変わってきてしまいましたよ、まあ、しばらくすると気持ちがまた変わるかもしれませんけどねえ。

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