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賠償予定の禁止 [社労士]

入社後1年半で退職した男性が、研修費用約90万円の返還を請求した会社を労働基準監督署に労働基準法違反容疑で告訴したというニュースがありました。

<労働基準法>入社1年半…退職時に研修費返還義務あるか? (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

研修後3年以内に退職した場合に研修費用90万円を返還する内容の貸金契約書に求められサインした男性は、辞めた会社から90万円の返還請求訴訟を起こされましたが、貸金契約が退職を条件としていることから労働契約と一体だとして、退職の自由を保障する労基法16条などに違反するとしているそうです。

記事には退職の自由を保障する労基法16条と書かれているのですが、まあ、ニュアンスは合っているのですが、でもちょっと違うんですよねえ、正確には今日のブログのタイトルの賠償予定の禁止です。

(賠償予定の禁止) 第十六条  使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

ただ、労基法16条は違約金、損害賠償額を予定する契約を禁止はしていますが、実際に生じた損害賠償を請求することを禁止しているわけではありません。

貸金契約書が労働契約だったとしたら労基法16条違反になりますので賃金契約書は無効になりますが、会社が実際に生じた損害賠償を請求すること自体は違法ではないということです。

例えば、会社が費用を負担して社員を海外の大学に留学させ、そこでMBAを取得させたがすぐに退職したので損害賠償を請求なんてケースなんかであれば、ありかなと思うのですが、さて男性が受けた研修がどのような研修であったか、また返還する研修費用額が妥当であるかが問われるということになるのでしょうね。

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