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厚生年金の見直し方針のニュース [社労士]

厚生労働省が、専業主婦が優遇されている主婦年金の見直しとして厚生年金の記録を夫名義と妻名義のものに半分ずつ分ける方針を示し、合わせて今の年金水準を3年間かけて段階的に引き下げる考えも提示したというニュースがありました。

ニュースはこちらです。

<厚生年金>妻に半額 給付下げ3年間で 厚労省方針 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

記事は、

〉 厚生労働省は29日、専業主婦らを対象とした第3号被保険者制度について、夫の保険料の半分を妻が支払ったとみなし、夫の厚生(共済)年金を夫名義と妻名義のものに半分ずつ分ける「二分二乗」方式とする方針を示した。世帯単位でみた保険料負担や年金受給額は変わらない。また、厚労省は同日、今の年金水準を3年間かけて段階的に引き下げる考えも提示した。いずれも社会保障審議会年金部会で示した。来年の通常国会への関連法案提出を目指す。

〉 3号の人は保険料を負担せず老後に基礎年金(11年度の満額は月6万5741円)を受給でき、共働きや自営業者の妻らから「不公平だ」との批判が出ている。このため、「専業主婦らも保険料を負担している」と位置づけることにした。ただ、夫婦で厚生年金を分割すると、妻が先に死亡した場合に夫が少ない年金のままとなる可能性もある。

〉 一方、年金水準の引き下げ案は、過去の物価下落時に給付カットを避けたことのつじつま合わせをするものだ。

〉 毎年度の年金額は、前年の物価水準に連動して決まる。しかし、00~02年度の年金額は物価が下がったのに「政治判断」で据え置かれ、その影響で今の給付水準は本来より2.5%高くなっている。厚労省はこれを3年で解消するため毎年0.8~0.9%ずつ引き下げる意向で、毎年、国民年金(満額)なら月額500~600円程度、平均的な厚生年金(月額約23万円)の受給世帯だと2000円程度下がる。【山田夢留、鈴木直】

とあります。

別なニュースを見ると小宮山厚労相はこの見直し案を、「恒久的解決ではないが、公平なところに踏み出すという意味で一歩前進だ」と言ったそうですが、これのどこが一歩前進しているのかさっぱり分かりません。

専業主婦らも保険料を負担しているのだから記録を分割するというのは、現行でも離婚分割の特例としてありますので理解できますが、不公平だと批判が出ているのはそこじゃなくて保険料を負担していないのに国民年金の基礎年金が受給できる部分なんですから、もしこの考えでいくのなら厚生年金の記録だけでなく国民年金の記録も1人分を夫婦で分割しなければ不公平の解消にならないでしょうね。

記事には夫婦で厚生年金を分割すると妻が先に死亡した場合に夫が少ない年金のままとなる可能性もあると書かれていますが、夫が現役中に亡くなってしまった場合の遺族年金は今の半額になるということでしょうし、夫婦が老齢年金を受給中に夫が亡くなった場合の遺族年金の額も夫の老齢年金の4分の3から12分の7になるわけですから(遺族年金の額は夫の年金の4分の3か、夫の年金の4分の3の3分の2と妻の老齢年金の2分の1を足した額のいずれか多い額ですから計算が間違っていなければ12分の7です)、ぱっと考えただけでも夫だけでなく妻にもこのままでは不利が発生しそうです。

年金水準の引き下げ案は、00~02年度に老人の反発によって選挙に負けるのを恐れるという「政治判断」で据え置いたものを、物価が上がったときにもその分を差し引いて物価スライドする「マクロ経済スライド」という仕組みを作ったものの、一向に物価が上がらないので焦れてしまい引き下げる考えが出てきたのでしょうか。

考えも提示するのはいいですが、00~02年度に自民党でさえ「政治判断」で据え置いたものを、今の民主党がはたして引き下げを実現できるんでしょうかねえ。

なんか最近の年金制度の動きを見ていると、行き当たりばったりの考えなしの見直しばかりがあるような気がして、こんなので大丈夫なんだろうかと心配になってしまいますよ。

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