SSブログ

生命保険について書かれた新書を読んでの感想 [生命保険]

書店でなにか面白そうな本はないかと新書のコーナーを眺めている時に生命保険について書かれた新書を見つけると(けっこう出ているんですよ)、面白いか面白くないかは別に仕事柄買って読むことが多いのですが、今日は最近読んだ生命保険についての新書についての感想を書きます。

読んだ本の名前を書きたいところですが、多少批判的なことも書きますので匿名で書いているブログならいざ知らず、名前を明かしているブログで書くには差しさわりがあるのかもしれませんので控えておきます。

本の内容は、序段では「お客様のために最適なプランを紹介する」というような生保マン、生保レディも実はかなりの確立でいかさまでゴロツキであり、そんな人の言いなりになると大事な資産が食い潰されますよ、という生保業界の暴露話(あくまでもこの本の著者が言っていることで、私が言っていることではありませんよ)から始まり、後段では他のFPや生保マン、生保レディが知らないという著者ならではの生命保険の考え方が書かれています。

いかさまな生保マン、生保レディとして、お客様からの言われるがままの「御用聞き」タイプ、必要以上の保障を売る「高い保険売りつけ」タイプ、「保険下取り」タイプ、「法人転がし」タイプなどがあげられていて、さらに調子に乗ったのかタイプとしての説明だけにとどまらず、流行の来店型ショップは保険会社からのドロップアウト組のたまり場であるとか、上級資格であるCFPと初級資格であるAFPではレベルに差があるので同じファイナンシャルプランナーの言うことであってもAFPの場合には疑ってかかるべきだなんて具合にずいぶん好き勝手なことが書かれています。

いかさまな生保マン、生保レディが少なからずいることは事実ですが、全員がそうでもないのにここまで書いてしまうのはどうなんでしょうねえ。

著者も当然に最後に営業マン全員が「悪」だと言っているわけではないと書き加えていますが、こういう人の悪口のようなものは読んでいて気分が悪くなります。

著者がどんなに優秀なFPであるか知りませんが、持っている資格だけでは決して分からない人としての資質がはからずも表れたような気がしますよ。

では、片手間で保険屋をやっているAFPごときの私では思いも付かないようなCFPでMDRT会員であるカリスマFPの著者の生命保険の考え方はどうかといえば、この手の生保ハウツー本にありがちな「保険は掛捨てが一番」というものではなく、「終身保険の解約返戻金を使って資産運用をしましょう」と「将来に起こるかもしれないインフレリスクを考えて保険に入りましょう」いうものです。

終身保険の解約返戻金を使っての資産運用は別に著者ならではのものでもなく、生保レディはともかくカタカナ生保の営業マンであればたいていは知っていますし、私も有効だと思っています。

ただ、保険でなければお金が貯まらないわけでもないのに、なんにでも貯蓄性のある保険に入って将来は解約返戻金を使おうというのはどうなんでしょう(保険に関しての本なので強調しているだけで、実際には違うのかもしれませんね。優秀なFPだそうですから、そうなんでしょう)。

この本に限らず保険の本というと、掛け捨ての保険がよいという本だと掛け捨ての保険ばかりを勧めるし、貯蓄性のある保険がよいという本だと貯蓄性のある保険を勧めるという極端な保険の勧め方ばかりになるのはどうなんでしょう。

皆それぞれ好みが違うわけですから、醤油ラーメン(掛け捨ての保険)が好きな人には醤油ラーメン(掛け捨ての保険)、味噌ラーメン(貯蓄性のある保険)が好きな人には味噌ラーメン(貯蓄性のある保険)を勧める普通のラーメン屋(保険屋)が一番だと思うのですが、醤油ラーメン専門店、味噌ラーメン専門店じゃないとだめなんですかねえ。

終身保険の解約返戻金を使っての資産運用は結構ですが、本の中で低解約返戻金型の終身保険を紹介しているのはどうなんでしょうか。

保険を使った資産運用の最大のデメリットは途中解約による元本割れですが、割安な保険料につられたか途中解約リスクの高い保険をすすめるなんて、真のプロフェッショナルのすることなんでしょうかねえ。

次に、将来に起こるかもしれないインフレリスクを考えて保険に入ろうという考えですが、考え自体は私の持っているものと同じでまったく賛成します。

借金を返せなくなるからお金を刷って返してハイパーインフレになるとまでは考えていませんが、今のデフレ状態がいつまでも続くとは思えませんので当然考えるべきでしょう。

本の中ではインフレになる図式として、国債が売れなくなり国債の金利が上がると社債の金利が上がり商品価値も上がるためインフレになるとしています。

卵が先かニワトリが先かの話ではありませんが、円安などによりインフレになり国債が売れなくなり国債の金利が上がるという図式もあるはずですが、インフレの原因を国債の金利上昇によるものとしています。

なぜ、国債の金利上昇をインフレの原因としているかというと、紹介している積立利率変動型の終身保険の積立利率が10年物の国債の金利に連動しているからなのでしょうが、まったく都合のいい話です。

本来は、積立利率変動型の終身保険よりも変額終身保険の方がインフレリスクに強いのですが、変額終身だと解約返戻金の最低保障がないので勧めづらいのですかねえ。

著者は自分の生命保険のノウハウがほとんどの生保マン、生保レディが知らないことが盛り込まれていると自負しているようですし、どんどん真似をしてほしいとまで書いていますが、確かに考え方は間違ってはいませんが、所詮片手間で保険屋をやっているAFPごときに突っ込みを入れられるものですから、もし私以外の生保マン、生保レディがこの本を読んで感銘を受けて真似をしようとするというならば、私も著者と同じく生保業界をガマンできない業界だと思うことにしますよ。

しかし、この本に限らず生命保険について書かれた本って、自分の勧める保険こそが正しい保険であるという一人よがりで考え方が偏っている本ばかりですよ。

別にうそが書かれているわけではありませんけれども考え方は色々ありますので、本を読んで保険を知ろうという方は1冊だけでなく、何冊か考え方の異なる本を読んだほうがいいと思いますよ。

私の事務所のホームページです。こちらもご覧ください。

社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー・DCプランナー 安部事務所(クリックしてください)

nice!(12)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。