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年金の世代間格差 [社労士]

厚生労働省が、世代ごとの公的年金の給付と負担の関係について最新の試算を公表したというニュースがありました。

70歳5.2倍、30歳2.3倍=公的年金の世代格差で試算―厚労省 ( 時事通信 ) - Yahoo!ニュース

厚生年金受給のモデル世帯(40年加入、妻が専業主婦)では、今年70歳の1945年生まれは、生涯を通じて支払った保険料の5.2倍の年金が受け取れるが、同30歳の85年生まれは2.3倍にとどまったそうです。

この記事だけを読むと、「今のお年寄りに比べて若い人は本当に可哀相だ」と思うのでしょうが、厚生労働省のホームページからその平成26年財政検証結果レポートを見たのですが、給付負担率を計算する上での前提、計算方法を知るとかなりショッキングです。

まず、厚生年金の保険料は労使折半で払うものですが、この計算では本人が支払った保険料しか計算していません。

会社が払う保険料は別だと言っても、その保険料はどこかからわいてくるわけではなく本人が働いて出た利益の中から出ているんでしょうから、計算の対象外にするのはやっぱりおかしい気がします。

お分かりでしょうが、会社の負担する保険料を含めて計算すれば、保険料負担額は倍になり受取倍率は半分になるということです。

次に厚生年金受給のモデル世帯(40年加入、妻が専業主婦)ですが、これは同年齢の夫婦で夫が20~60歳まで厚生年金に加入している間、妻は第3号被保険者であると仮定しています。

だんなさんが厚生年金などに加入しているときに、奥さんが専業主婦、あるいは低収入のパートなどであれば奥さんは国民年金の第3号被保険者として加入しているということになるのですが、だんなさんは別に奥さんの分の保険料を多く払うということはありません。

独身の人や夫婦で共にフルに働くという人も、第3号被保険者のいる人も払う保険料は一緒ですが、年金給付額の受取倍率は第3号被保険者のいる家庭の方が多いということです。

30歳では2900万円の保険料負担に対して6800万円の年金を受け取れると記事に書かれていますが、会社の払う保険料負担を含めると5800万円の負担になり、1.17倍の年金しか受け取れなくなります。

さらにこの計算の仮定では、保険料を払わずに年金が受け取れる奥さんの分の年金額も含まれていますから、それなら一生独身だった人の受取倍率はというと、めんどくさいし怖いしで計算はしませんがなんかかなりまずいことになりそうですよ。

年金の財政の現況及び見通しをご覧になりたい方はこちらからご覧ください。

平成26年財政検証結果レポート | 厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000093204.html

世代間の給付と負担の関係については、第5章にあります。

私の事務所のホームページです、こちらもご覧ください。

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