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歴史の教科書、今、昔 [その他]

新潮文庫の「こんなに変わった歴史教科書」(山本博文さん他著)という本を読みました。

昭和48年と平成18年に発行された中学校用歴史教科書を比較し、現在の大人が昭和時代に習った歴史と、その後の研究の発展によって改訂された平成時代の子供が習う歴史の違いについて、学会の意見も留意してまとめられた本です。

例えば、私もそうですが昔の子供は鎌倉幕府の成立した年を「イイクニつくろう鎌倉幕府」の1192年と習ってきましたが、今の教科書では鎌倉幕府の成立を1192年以前と書かれているといった、昭和と平成の教科書で大きく記述が変化した部分について解説しています。

では、鎌倉幕府の成立がいつかというと、源頼朝が征夷大将軍に就任した1192年以前の、守護・地頭を設置した年の1185年が幕府の成立と見る意見が最有力で平成の教科書は守護・地頭を設置と幕府の成立を結びつけて書かれていますが、その他にも公文所・問注所を設置した年、右近衛大将に就任した年など、研究者の見解によって複数の説があるようです。

私なんかはもう「イイクニつくろう鎌倉幕府」が頭から離れませんので、1192年でも間違っているわけでもないのだからいいじゃないかと思いますし、幕府成立=征夷大将軍就任ではないのだとしたら、南北朝時代と重なる室町幕府、豊臣政権と重なる江戸幕府も、今後の研究によっては成立年が変わってくることになるわけですから、学会の研究はともかく教科書では幕府成立=征夷大将軍就任に統一してもいいんじゃないかとも思いますけどね。

思わず鎌倉幕府の話しが長引いてしまいましたが、その他にも日本で最大の古墳は「仁徳天皇陵」ではなく今では「大仙古墳」と呼ばれるとか、日本で最初に鋳造された貨幣は「和同開珎」ではなく「富本銭」ですとか、十七条の憲法を定めたのは「聖徳太子」ではなく今では「厩戸皇子」呼ばれるとか、古い歴史ばかりあげましたので近世の例をあげるとと江戸時代に「士農工商」といった身分制度は実はなかったといった、昔の子供にとって「あら、びっくり」という平成の時代に習う歴史が書かれています。

これらの例はけっこう有名ですから、本を読む前からどこかで見たり読んだりしていたので特に驚くことはありませんでしたが、江戸時代のキリシタン発見のための「踏絵」が今では「絵踏」に変わっているということは今回本を読むことで初めて知りました。

本来、キリシタン発見のために踏む絵が「踏絵」で、絵を踏む行為が「絵踏」なので、そうなると踏絵をおこなうという表現は日本語としておかしいので変わったそうですが、研究が進むとそんな所まで変わるものなんですねえ。

まあ、歴史の研究にゴールはありませんから、タイムマシンが発明されない限りは平成の教科書で歴史を習った子供が大人になった時にもそのときの子供の教科書を見たら、今はこんなに変わっているんだとやっぱりびっくりするんでしょうね。

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