SSブログ

非正規労働者の厚生年金適用拡大を目指すそうです [社労士]

管首相が、非正規雇用労働者の厚生年金適用拡大の実現を目指す意向を示したというニュースがありました。ニュースはこちらです。

<菅首相>非正規労働者の厚生年金適用拡大 実現に意欲 (毎日新聞) - Yahoo!ニュース

記事は、

〉 菅直人首相は5日、首相官邸で開かれた社会保障改革に関する集中検討会議で、パートや派遣社員など非正規雇用労働者の厚生年金適用拡大に関し、「私なりに全力を挙げてやってみたい」と述べ、実現を目指す意向を示した。非正規労働者の多くは国民年金に加入するが、十分な保険料が払えず将来、低年金や無年金となる恐れがあり、その対策が今回の社会保障改革の焦点の一つ。ただ、保険料による負担増を嫌う企業側の反対が予想され、4月にまとめる改革案に盛り込まれるかどうかは微妙だ。

〉 厚生年金の加入要件は正社員の労働時間の4分の3以上で、大半の非正規労働者は国民年金の対象になる。だが、国民年金は月々の保険料(現行1万5100円)を40年間払い続けた満額でも受給額は月額6万6000円程度。所得が低い人には保険料の減免制度もあるが、支給額が減るため保険料を納めない人も多く、未納者増の要因の一つになっている。

〉 総務省の労働力調査によると、10年(平均)の非正規労働者は1755万人と全雇用者(5111万人)の34.3%に達する。このままでは将来、生活保護受給者の増大につながる恐れがあり、厚生年金の適用拡大は喫緊の課題と指摘されている。

〉 だが、厚生年金保険料は本人と事業主が折半する。非正規労働者が加入すれば企業側の負担が増加するため、パート労働者の多い流通業界などを中心に企業側には反対意見が強い。政府は07年の通常国会に関連法案を提出したが、廃案になった経緯がある。

〉 会議では連合の古賀伸明会長も「労働市場が変わっている。議論を深めないといけない課題だ」と首相を支持した。与謝野馨経済財政担当相も記者会見で「(生活保護受給者が増えるなど)将来の社会的コストも考えて判断しないといけない」と述べた。

〉 同日は年金や医療、介護、子育て、貧困の専門家からのヒアリングを実施した。【鈴木直】

〉 ★厚生年金の「適用基準」 厚生労働省が80年6月に示した厚生年金の「適用基準」は、正社員の「所定労働時間の4分の3以上」。政府が07年に提出した法案では▽所定労働時間が週20時間以上▽賃金が月額9万8000円以上▽勤務期間が1年以上--などの新たな基準を盛り込んでいた。

とあります。

管首相の「私なりの全力」がどれほどのものなのか分かりませんが、実現はむずかしいんじゃないですかねえ。

厚生年金の適用についての話ですが、社会保険は厚生年金と健康保険がセットになっていますので、厚生年金が適用になると健康保険も適用になるということでしょう。

厚生年金の保険料率が約16%に健康保険の保険料率が9.5%で合わせて25.5%も人件費が増えるわけですから、記事に書かれているように企業側の反対は強くなるでしょう。

企業側の反対だけではなく、労働者側も手取りの給料が1割以上減るわけですから反対するんじゃないでしょうか。

特にパートで働く主婦であれば、年金は第3号被保険者で健康保険の被扶養者と保険料を全く負担する必要のない立場から、保険料を支払う立場に変わるのですから、適用の拡大を歓迎するとは思えません。

適用を拡大するという考え自体は間違ってはいませんが、ただ拡大するだけではだめで諸々の制度も合わせて変えていかなければなりませんが、もう管政権にそこまでやりぬく力はないでしょう。

では、首相が変わる、あるいは政権交代があったら適用が拡大されるのかといえば、それもどうなんだろうと思いますよ。

2007年の法案がどのような経緯で廃案になったのか分かりませんが、そのときは自民党が与党で民主党が野党だったんですからね。

ちなみに、2007年の法案では従業員300人未満の中小企業は適用が猶予されることになっていましたよ。

先に書いたとおり厚生年金の適用拡大は間違ってはいませんし必要なことだと思いますが、実現のためには越えなければならないハードルがいっぱいありますので、誰が首相になってもそう簡単に実現できないでしょうね。

私の事務所のホームページです。こちらもご覧ください。

社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー・DCプランナー 安部事務所(クリックしてください)

nice!(10)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:仕事

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。