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社会保険の適用基準の引き下げを検討 [社労士]

厚生労働省が、パートなどの短時間労働者の厚生年金と健康保険への加入基準の引き下げを検討しているというニュースがありました。

ニュースはこちらです。

短時間労働者への厚生年金適用拡大等、検討 (読売新聞) - Yahoo!ニュース

記事は、

〉 厚生労働省は1日午前、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)特別部会の初会合を開き、「社会保障・税一体改革」で決定したパートなど短時間労働者への厚生年金と健康保険の適用拡大について、具体的な基準の検討に入った。

〉 専業主婦らが国民年金保険料の支払いを免除される基準である「年収130万円未満」の引き下げについても、「主な論点」として正式に提示された。

〉 厚労省は労働時間についても、現行の加入要件である「週30時間(正社員の4分の3)以上」を短縮する方針だ。一体改革で例示された「週20時間以上」への緩和を軸に検討する見通しで、この場合、加入者は約400万人増えると推計されている。

〉 厚生年金と健康保険の加入者が増加すると、企業側の保険料負担が増えるため、多くのパートなどを抱える流通・外食産業、中小企業などの強い反発が予想される。

〉 免除基準の見直しは専業主婦らの負担増にもつながるため、今後の調整は難航が予想される。

とあります。

皆さんはもうご存知と思いますが、専業主婦らが国民年金保険料の支払いを免除される基準である「年収130万円未満」~の専業主婦らというのは、旦那さんが会社員や公務員などの場合の専業主婦であって、旦那さんが自営業などの場合は基準はなく保険料の支払いを免れないということをまず前提としてあげておきます。

厚生労働省が検討しているのは、健康保険の被扶養者と国民年金の第3号被保険者の基準である年収130万円を引き下げるとともに、そこで新たに国民健康保険と国民年金の負担をしなければならなくなる主婦らのために社会保険の適用基準も引き下げて、健康保険と厚生年金に加入させようということでしょうか。

社会保険の加入者が増えるということはよいことでしょうが、条件を絞り込むだけでは専業主婦が優遇されているという不公平感は解消されるどころか、むしろ基準を引き下げることによりより大きくなるのではと思います。

記事では専業主婦“ら”なんて一括りにしていますが、パートであっても働いている主婦はそもそも専業主婦ではないでしょう。

あとは、記事にも書かれていますが、反対の声が多く出る中ではたして実現できるのだろうかというのも気になります。

基準の見直しは今回が初めてということではなく、これまでも度々出ています。

2007年には国会に改正法案まで出しましたが、当時の野党である民主党の反対で廃案となっていますので皮肉なものですね。

その時の適用条件は、1年以上の勤務期間、賃金が月に98,000円以上、週の労働時間が20時間以上で適用というもので、従業員300人以下の中小企業は当面の間は適用を猶予するものでした。

今後に出てくる検討案もこれに近い形で出てくるのではないでしょうか。

社会保険の適用拡大は避けられないだろうし、するべきだと思いますが、それと専業主婦の国民年金保険料の支払い免除は別な問題ですから、適用拡大によってお茶を濁すのではなく、免除すべきか、するべきでないかを別にきちんと検討する必要があると思いますよ。

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