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マタハラ裁判差し戻しの結果 [社労士]

去年の10月26日のブログで、妊娠を理由に降格されたのは男女雇用機会均等法に反するとして損害賠償などを求めた訴訟で、最高裁第1小法廷が本人の承諾がないような降格は原則として均等法に違反するという初判断を示して、敗訴とした2審・広島高裁判決を破棄し審理を高裁に差し戻しましたというニュースを紹介しましたが、その差し戻し控訴審判決が17日に広島高裁であったというニュースがありました。

マタハラ、女性が逆転勝訴=妊娠降格で慰謝料命令―差し戻し控訴審判決・広島高裁 (時事通信) - Yahoo!ニュース

降格を違法と認め、請求を棄却した一審広島地裁判決を変更して、慰謝料の支払いを命じたそうです。

降格が許される例外として最高裁が示した「明確な同意か業務上必要な特段の事情」の有無が争点だったが、同裁判長はいずれも認められないと判断したそうです。

最高裁が示した例外事情について、最高裁の判決文からもう少し詳しく抜き出すと、「女性労働者に妊娠中の軽易業務への転換を契機として降格させる事業主の措置は,原則として男女雇用機会均等法9条3項の禁止する取扱いに当たるが、労働者本人が自由な意思に基づいて降格を承諾したものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときか、降格の措置を執ることなく軽易業務への転換をさせることに円滑な業務運営や人員の適正配置の確保などの業務上の必要性から支障がある場合に,業務上の必要性の内容や程度及び上記の有利又は不利な影響の内容や程度に照らして,9条3項の趣旨、目的に実質的に反しないものと認められる特段の事情が存在するときは、9条3項の禁止する取扱いに当たらないものと解するのが相当である」というものです。

読みやすくなるように文章に手を加えましたが、それでもやっぱり読みづらいですよね。

均等法9条3項は、「事業主は、その雇用する女性労働者が妊娠したこと、出産したこと、労働基準法第65条第1項の規定による休業を請求し、又は同項若しくは同条第2項の規定による休業をしたことその他の妊娠又は出産に関する事由であつて厚生労働省令で定めるものを理由として、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」というものです。

で、厚生労働省令の中に「軽易な業務への転換を請求し、又は軽易な業務に転換したこと」があり、軽易な業務への転換を請求したとき、ことに降格という不利益な取扱いをしてはならないということになるのですね。

降格を不服に思って訴えているわけですから当然に自由な意思で承認したわけでもなく、業務上必要な特段の事情もなかったということなのでしょう。

なにはともあれ、本人の自由な意思に基づいての承認か、降格させなければ適正配置の確保などができず業務上の支障が生じるような特段の事情がある場合でなければ、妊娠、出産による降格はマタハラになるということです。

去年の10月のブログにも書いたのですが、女性社員が妊娠、出産をしたときには負担の軽い部署に異動と画一的に該当者全員に対応している会社もありそうですが、今後は個々人の意向を十分に組み込んだ上での対応が必要となりますね。

話は変わりますが、うちにもマイナンバー通知カードが届きました。

昨日もマイナンバーについての研修を受けてきましたが、マイナンバーはいったいどうなるのでしょうね、マイナンバーに関してとても係わりのある社労士ですが先が読めませんです。

私の事務所のホームページです、こちらもご覧ください。

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