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日本航空による整理解雇の撤回求め提訴 [社労士]

日本航空から昨年末に整理解雇された社員が、解雇の無効により地位確認と賃金支払いを求めて提訴したというニュースがありました。ニュースはこちらです。

<日本航空>元社員146人、整理解雇の撤回求め提訴--東京地裁

記事は、

〉 経営再建中の日本航空を昨年末に整理解雇されたパイロットと客室乗務員165人のうち146人が19日、解雇は無効などとして、会社側に地位確認と賃金支払いを求め東京地裁に提訴した。日航が会社更生法の適用を申請してからこの日でちょうど1年。景気低迷が続く中、大企業の人員整理の在り方を巡る判断が注目される。

〉 提訴したのはパイロット74人と客室乗務員72人。訴状によると、日航は営業利益が計画を大幅に上回るなどしているのに、客観性のない人員削減目標を設定。ワークシェアリングなどの解雇回避措置も尽くさないまま整理解雇を強行したとしている。さらに、白紙の業務スケジュールを対象者に示すなど手続きにも問題があったと指摘。解雇は、必要性▽回避努力義務▽対象選定基準の合理性▽手続きの妥当性--の4要件のいずれも満たしていないとした。

〉 原告は、ほとんどが会社側と対立する「日本航空乗員組合」と「日本航空キャビンクルーユニオン」(CCU)の組合員。この日は、制服姿の乗員組合員とオレンジのスカーフを巻いたCCUのメンバーが、地裁周辺でビラを配布し、集会を開いた。

〉 乗員組合の宇賀地竜哉委員長は「4要件はいかなる状況でも厳格に適用されることを、きちんと訴えることが社会の利益」と強調。CCUの原告団長の内田妙子さん(57)は「これまで何度も放漫経営の問題点を指摘してきたが、会社は改めなかった。『社員も甘えている』という社会の誤解を取り除きたい」と訴えた。【本多健】

とあります。

この件に関しては、昨年の11月に日本航空が整理解雇に踏み切る公算が強くなったというニュースがあったときにブログに書いていて、その時に記事にも書かれている整理解雇の4要件について書きましたが、今日はもう一度書いてみます。

整理解雇の4要件とは、その整理解雇に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められるために満たさなければならない4つの条件で、

(1) 経営上の人員削減の必要性があること
(2) 解雇回避努力を尽くしたこと
(3) 解雇対象者の人選に合理性があること
(4) 整理解雇手続が妥当であること

の4点となります。

記事を読むと、パイロットと客室乗務員は、営業利益が計画を大幅に上回るなどしているので(1)の人員削減の必要性がない、ワークシェアリングなどの解雇回避措置を尽くしていないので(2)の解雇回避努力を尽くしていない、という具合に整理解雇の4要件をいずれも満たしていないので解雇は無効であるということを訴えています。

日本航空側の主張は出ていませんのでどのようなものになるか分かりませんが、おそらく財政再建中であるため(1)の人員削減の必要性があり、早期退職勧奨を実施しているので(2)の解雇回避努力を尽くしているという具合に整理解雇の4要件をいずれも満たしているので当該解雇は有効であるということを主張するのでしょう。

私が書いているのは整理解雇の考え方であって、両者のどちらが正しいなんて決め付けることはありませんが(率直に言えば飛行機嫌いですから、日航がどうなろうと知ったこっちゃないやと思います)、裁判所は両者の話を聞いた上でこの整理解雇が有効であるか、無効であるかを決定するということになります。はたしてどのような判決が出るのでしょうか。

まあ地裁への訴訟ですから、どのような判決が出ても納得がいかない側が控訴して話はもっともっともつれていくんでしょうね。

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